食欲不振は食べたい、飲みたいという欲求の起こらない状態をいいます。もちろん、特定の飲食物に対してではありません。
原因疾患として筆頭に上げることができるのは胃炎等の消化器疾患ですが、感染症や内分泌疾患、腎臓や心臓疾患の主訴となることもありますから、全身症状の一つとしてとらえるべきでしょう。精神的、心理的影響が大きいことや、薬物中毒に起因する事があることも見逃せません。
治療は原疾患に対するアプローチが重要になります。食欲不振を訴える消化器疾患としては慢性・急性の胃疾患、肝蔵、胆嚢疾患、便秘や下痢などが挙げられますが、これらに基づく食欲不振は原疾患が治るにつれて食欲不振も消えていきます。東洋医学でも「悪食」「厭食」等の言葉で食欲不振を表しています。情志の失調〔感情の乱れ〕、労倦〔肉体的疲労〕、熱邪〔発熱性の病気〕、食滞〔消化機能の低下〕など、原因は多岐にわたるとされています。治療は、それら病変に応じた経穴だけでなく、脾胃〔消化吸収〕の機能回復を目的にした配穴を加えることが大事です。
主な経穴としては百会、隔兪、肝兪、脾兪、胃兪、腎兪、中カン、梁門、天枢、足三里、三陰交、陰陵泉などをあげることができます。
背部、腹部の硬結や緊張など反応点に対する刺鍼は胃腸の働きを活発にするだけでなく、筋緊張の緩和は全身の血行循環を促します。
食欲不振を一種の自律神経症状としてとらえた場合でも鍼灸は有効です。手足も含めた全身治療は交感神経優位に働いた身体をバランスのとれた状態へと導く手助けをしてくれます。
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